Picty 180 のページ

 最近まで、Picty 180 という NEC のカラーインクジェットプリンタを使っていました (もう売ってません)。わりといいプリンタだったと思うのですが、Epson や Canon のカラープリンタと比べて、 提供されているドライバ以外で使うための情報が不足しています。 わかった範囲で情報をまとめておきます。


Picty180 の ghostscript ドライバ

 Picty180 のドライバは Kondara などの ghostscript にはすでに組み込まれています。確認していませんが、 とみながたけひろさんgs5.10 で PICTY180 を使おうにあるドライバか、これをすずきだいすけさんの gs 日本語化パッチキットに組み込んだものかだろうと思います。
 というわけで以下の情報はもうあまり意味がないと思いますが、 上記のドライバを作る上で参考になったようなので一応残しておきます。

 Picty 180 は印刷機構自体は HP DeskJet 660C と同じのようです (実際 Picty 180 用のインクカートリッジはカラーは NEC PR101/J180-11、モノクロは PR101/J180-01 ですが、箱を開けると HP 51649A, 51629A という 660C 用の HP のカートリッジが出て来ます) が、ドライバがそのまま使えるわけではないようです。マニュアルには 201PL (NEC 系プリンタのエスケープシーケンス) と ESC/P についての簡単な説明があるだけで、DJ660C で使えるはずの PCL (HP のエスケープシーケンス) については書かれていません。実際、 ghostscript 2.6.2 で gdevcdj.c の DJ550C 用のドライバ (comp.sys.printer によると DJ660C で使えるはずです) を使ってもうまく印刷されません。
 仕方ないので Windows 上で印刷した結果をファイルに落して眺めてみたところ、出力の先頭に
        "\033%-12345X@PJL ENTER LANGUAGE = PCLSLEEK\n"
末尾に
        "\033%-12345X"
という文字列が入っていました。いかにも PCL モードへの切替えをしているといわんばかりなので、 試しにこれらの文字列を出力するように gdevcdj.c を書き換えてみたところ、 Picty 180 でちゃんと印刷ができるようになりました。

 この gdevcdj.c へのパッチをここに置いておきます。このパッチを使うには、このほかに Makefile を以下のように書き換える必要があります:

 以上の変更を行なった上で再コンパイルすると、gs で -sDEVICE=picty180 または -sDEVICE=picty180hi を指定することによって Picty 180 での印刷が可能になります。
 picty180 を指定した場合の解像度は 300dpi×300dpi、picty180hi の場合は 600dpi×600dpi です。モノクロで高速に印刷したい場合やカラーの場合は picty180、モノクロできれいに印刷したい場合は picty180hi を指定して下さい。

 カタログスペックではカラーは 600×300 が最大のはずなのですが、600×300 を指定する方法は今のところわかっていません。 実際に使われる解像度は不明ですが、picty180hi でも一応カラーの印刷はできます (picty180 を指定した場合と比べて濃くなります)。

 カラー印刷はソースコードを読んでもよくわからないくらい高度な (^^;) gdevcdj.c の誤差拡散ディザのおかげで非常にきれいです。ただし、 黒の塗りつぶしとカラーの部分とが隣接しているとインクが流れてしまうのが難点です (どなたか防ぐ方法をご存知の方は教えて下さい)。

 黒の印刷も宣伝文句通り、レーザープリンタに近い品質です。picty180hi を指定して TrueType で ghostscript を使うのがお奨めです。

関連情報


私は日本電気および Hewlett-Packard 社と (競合他社の従業員であること以外 ^^;) 何の関係もありません。 このページの情報およびソフトはすべて独自に調査・作成したもので無保証です。
YOSHIDA Hideki
Last modified: Fri Jun 14 21:38:56 JST 2002