英之「春休みスペシャル第二段は
Fanime Con
だ。こちらでは最大級の日本アニメコンベンションらしい」
冠子「って 3週間もあとになって追加しても読んでもらえるの?」
冠子「そ、それくらいの気合いがないとこっちではやってけないのかな……」
英之「企業ブースはセルが妙に多いが、あとは VHS・DVD・単行本
(英訳・日本語)・グッズ・ガンプラというこっちの店に多い内容だ。
日本語同人誌も少しあるが、$25-40 という無茶な値付けのところが多い。
単行本も 450円のが $8 で売られてたりして結構暴利だ」
冠子「それでも長い行列ができてるっていうことは、
みんななかなか買う機会がないのかな」
英之「うん。ゲーマーズアメリカ進出というのは正解かもしれない」
英之「コスプレの話はお父さんあまりわからないが、
とりあえず妙に似ていて魔法装束 (太陽の杖つき)
も凝った東アジア系のエリオル君が印象的だった」
冠子「どこの人なんだろう……」
英之「いっしょにいた友枝小学校の制服の女の子は、
結構うまいが微妙になまりのある日本語をしゃべっていた。
銀英伝の部屋も帝国軍の軍服の一行をはじめコアなファンは中国系だったし、
中国系の存在は大きいようだ」
冠子「やっぱり同じ文化圏なんだね」
英之「とはいえヨーロッパ系でもすごい人はすごい。
行列の中にはこんな人達もいた」
冠子「た、たしかにすごいかも」
英之「Westin Hotel の結構立派なロビーがあれな人達で埋めつくされている中で、
制服の樹璃と幹が奥のカフェでお茶を飲んでいるのはなかなか様になってたな
」
冠子「うーん」
英之「上映会は
Foothill Anime
でやっているような英語版未発売のソフトの fansub 版が多かったが、
Walt Disney のモノクロ映像と Dirty Pair を切り貼りした
mad video もあった」
冠子「……恐いもの知らずだね」
英之「このほかあろひろしや幾原邦彦の講演も面白かった。
飯島真理のコンサートが次の日の券しかないということで
行けなかったのが残念だが、充分楽しめた。近所にお住いの方は、
来年ぜひ」
冠子「ま、まあこれはお薦めしてもあんまり問題ないかな……」
英之「というわけで春休みスペシャルワシントン DC 旅行篇だ」
冠子「いいなあ、わたしも行きたかったなあ……お父さんどうしたの?」
」
英之「お前も連れて行ったっていう設定なのに……」
冠子「あわわっ、ごめんねっ、博物館やきれいな建物がたくさんあって面白かったし、シーフードもおいしかったねっ」
英之「……なぜそこで急に話を合わせられる」
冠子「だってわたし妄想だし……」
英之「生牡蛎と crab cake と
いうカニコロッケ風なのはたしかにおいしかったな。
博物館もとんでもなく充実してたし」
冠子「お父さん 3日間博物館に籠りっきりなんだもん」
英之「でも一番のお薦めは、郊外のアレキサンドリアにある George
Washington Masonic Memorial だ。名前の通りフリーメーソンが作った記念館なので、
ありきたりの観光名所とは一味違う」
冠子「またいきなりそういうものを……」
英之「誰だって子供の頃に渋澤龍彦の『秘密結社の手帖』を読んでわくわくした経験くらいあるだろう」
冠子「そんなのお父さんくらいだよ……」
英之「
加州富士見町
にも
隣町
にもフリーメーソンのロッジの看板を掲げた建物があって気になってたんだが、
さすがにいきなり入ってみる勇気はないし」
冠子「気にならないでよう……」
英之「その点わしメモは」
冠子「その略し方はやだよう……」
英之「いかにも観光客歓迎という雰囲気でちゃんと見学時間も書いてあるから安心だ。アメリカだけあって秘密結社もオープンらしい」
冠子「そ、そういうものなのかな」
英之「建物自体もいいんだこれが。
エジプトのアレキサンドリア灯台がモデルらしいが、
東京の国会議事堂のてっぺんをつまんで引っ張ると、
折り畳みアンテナが伸びる式にこんな建物になる気がしないか?
ペディメント部分はちょっと違うけど」
冠子「言われてみるとそうかも」
英之「中に入るとこんな感じの怪しい小部屋がたくさんある。
強調遠近法のトンネルの先の幻灯風の絵とか、テンプル騎士団の部屋とか、
フリーメーソンのロッジってきっとこうなんだろうな、こうだったらいいな、
と純真な子供が想像するようなものはだいたい揃ってる」
冠子「じゅ、純真……」
英之「アニマトロニクスで動いてしゃべるジョージ君もいたりする」
」
冠子「あああ」
英之「売店も期待通りこんな感じの本をいろいろ売ってるんだこれが」
」
冠子「ISBN ついてないよう……」
英之「とにかくフリーメーソンは予想以上にアメリカでは人気があるようだ。近代合理主義に対するアンチテーゼとか、
分断された個をコミュニティに再統合するための共同幻想とかいうことなんだろうか」
冠子「やっぱりそういう話になるんだね……」
英之「もともと石工のギルドからはじまったということで、
建築とのつながりもいずれ考察してみたい」
冠子「つくづくお父さんの趣味に合ってしまったみたいです……」
英之「DC ダウンタウンから地下鉄で 20分、King St
駅の目の前なので、ご出張・ご旅行の際は皆さんぜひお立ち寄り下さい」
冠子「うかつにお薦めしないでよう……」