スプリンクラーにかかる虹の向こうへ ―― 近代性の涯での調理実習記

英之「帰国間近なので記念にアメリカならではのアンティークをいろいろ物色してるけど、なかなかいいのがない」

冠子「Kさんは気に入ってたくさん買ってたね」

英之「どう見ても最近のものなのにビクトリア朝もどきの時代錯誤なデザインで、しかも安っぽいのが多い。お前ら近代とはとか悩んだことないだろうというか」

冠子「ないない」

英之「アーリーアメリカン風の方がまだ許せるが、ちょっと少女趣味だしなあ」

冠子「少女みたいな趣味、っていうのはだめなのね……」

英之「というわけでモダンデザインになった。このコーヒーテーブルとか」

冠子「たしかにこういうのの方が日本の部屋には合うかも」

英之「この時計も舵輪や文字板が一応アールデコだ」

冠子「ちょっと野暮ったいけどそこがいいのかな」

英之「しかしムーブメントが交流モーター」

冠子「それ 50Hz じゃ使えないよう……」

2002/2/27