英之「ようやくだいたい片付いたがまだ開いていない段ボールが少しあるな」 冠子「また開かないままになるのかな……」 英之「死ぬまで開かない段ボールというか、死んだときに開けてほしくない段ボールというか」 冠子「うわ」 英之「死期を悟ったら、館に火を放って己と己の業とを劫火の中に燃やし尽くす、というのが美しいけれど」 冠子「保険会社の人が読んでたら掛金が上がりそうだよう」 英之「集合住宅でそれをやると近所迷惑だな」 冠子「迷惑とかそういうレベルの問題じゃ……」